リビングウォール技術解説

リビングウォールシステム――構造と植栽基盤の考え方

リビングウォールは、植栽基盤・灌水設備・排水機構をあらかじめ組み込んだシステム型の壁面緑化です。モジュール型、パネル型、プランター型、ポケット型など、構造の違いによって適した建物条件が異なります。

システムの分類

代表的な4つのシステム類型

リビングウォールは製品ごとに構造が異なりますが、基本的な考え方は次の4類型に整理できます。

モジュール型システム

植栽基盤を内蔵した交換可能なユニットを、フレームに組み付けていく方式です。生育不良が生じたユニット単位で交換できるため維持管理の自由度が高い一方、ユニット重量に耐える下地と、交換作業のためのアクセス経路の確保が必要です。

パネル型システム

フェルト状や発泡素材のパネルに植物を定着させ、壁面に面状に取り付ける方式です。比較的薄い厚みで緑化面を構成できますが、取付金具の固定方法や、パネル背面での結露・通気への配慮が求められます。

プランター型システム

独立したコンテナに植物を植え、縦方向に連結・積層して設置する方式です。個々のコンテナ単位で排水や灌水を管理しやすい一方、設置面の耐荷重とコンテナごとの排水経路の確保が課題になります。

ポケット型システム

布製や樹脂製のポケット状の植栽基盤を壁面に吊り下げる方式です。軽量で設置の自由度が高い反面、資材の耐久性や経年劣化、植栽基盤の保水力が限定的になりやすい点に留意が必要です。

コンクリート造の建物に設置されたリビングウォールのディテールを近接して見たイメージ
※イメージ画像です。緑化の考え方を示す参考写真であり、弊社の施工実績ではありません。

植栽基盤の考え方

リビングウォールの性能は、植栽基盤(培地)の設計に大きく左右されます。保水性と排水性のバランス、軽量化の必要性、根の活着のしやすさなど、使用する培地の要件を整理したうえで選定します。あわせて、特定の独自技術を前提とせず、一般的な水耕的な考え方(養液や水分を循環・供給する仕組み)がどのように用いられるかを、建物条件に即して一般論として整理します。

水まわりの計画

灌水・排水に関する検討事項

システム型のリビングウォールでは、水の供給と排出を計画的に管理することが、植物の健全な生育と建物の保護の両方にとって欠かせません。

灌水の均一性とモニタリング

壁面全体に水分を均等に行き渡らせる仕組みと、灌水量・頻度を確認するモニタリング手段をあわせて検討します。局所的な水分の偏りは、植物の生育むらや枯死につながるため、定期的な確認が必要です。

排水の回収・排出要件

余剰水を適切に回収し、既存の排水系統や防水層を損なわない形で排出する計画が必要です。特に室内設置や既存建築への後付けの場合、漏水対策と排水経路の確保が重要な検討事項になります。

専門領域に関する補足
給排水設備の施工や電気設備との接続は、有資格の専門業者による施工が必要です。当社は要件整理と専門家との連携調整を支援します。
運用の視点

植物の入れ替えと継続的な維持管理

植物の入れ替えアクセス

生育不良や枯死が生じた植物は、部分的に入れ替える必要があります。入れ替え作業がしやすい構造か、高所の場合は安全に作業できる足場やアクセス手段が確保できるかを、設計段階から確認しておくことが重要です。

継続的な点検・維持管理

灌水設備の作動確認、培地の劣化確認、固定金物の点検など、設置後も継続した点検が必要です。維持管理の頻度と担当範囲は、建物の使用用途やアクセス条件に応じてあらかじめ取り決めておきます。

ホテルロビーに設置されたリビングウォールのイメージ
※イメージ画像です。緑化の考え方を示す参考写真であり、弊社の施工実績ではありません。
建物条件による適否について
リビングウォールは、すべての建物に等しく適用できるものではありません。荷重条件、給排水の引き込み可否、電源確保、メンテナンスアクセスなど、建物ごとの条件によって採用できるシステムは異なります。まずは建物条件の確認から検討を始めることをお勧めします。

リビングウォールの導入可否をご相談ください

建物の構造条件や設備状況を踏まえ、どのシステム類型が適しているか整理いたします。まずは現状の建物情報をお聞かせください。